2024年版パラディンは神聖なる一撃をどう使うべきか?——2014年版からのビルド変更

2024年版の『神聖なる一撃』は、毎命中へ連続投入する瞬間火力装置ではなくなりました。命中後に使える確実性とクリティカル・ヒット時の爆発力は残っていますが、ボーナス・アクションを使う呪文になり、癒しの手、ほかのスマイト呪文、複数の特技や呪文と競合します。

この記事では、2024年版パラディンの変更点を前提に、いつ『神聖なる一撃』へスロットを使い、武器・能力値・行動をどう組み直すかを扱います。

先に結論

大休憩ごとの無料使用は重要な敵への確実な追加ダメージとして使い、有料の呪文スロットはクリティカル・ヒット、フィーンド/アンデッド、今倒せば敵の次のターンを消せる場面へ優先するのが基本です。

2014年版のように同じターンの複数命中へ連続使用できないため、「何回当てるか」だけでなく「そのターンのボーナス・アクションを何に使うか」を先に決めます。両手武器型は一撃の基礎ダメージ、盾型は防護のオーラと生存、Nick二刀流型はスマイトを使える命中機会の多さが長所です。

2014年版ではどう機能していたか

2014年版の神聖なる一撃(Divine Smite)は呪文ではなく、パラディンのクラス特徴でした。レベル2以降、近接武器攻撃が命中したときに呪文スロット1つを消費し、1レベル・スロットなら2d8、以後スロット・レベルが1上がるごとに1d8を加え、追加ダメージは最大5d8でした。目標がアンデッドまたはフィーンドなら、さらに1d8増え、合計の上限は6d8でした。

アクションを必要とせず、使用回数も「1ターンに1回」ではありませんでした。そのためレベル5以降は、攻撃アクションの2回が両方命中すれば、別々の呪文スロットを使って2回発動できました。事前にボーナス・アクションで発動するスマイト呪文と、同じ命中へ神聖なる一撃を重ねることもできました。

この仕組みは、短い戦闘で呪文スロットを一気にダメージへ変える「ノヴァ」を支えました。一方、数ラウンドでスロットを使い切り、回復、支援、探索用の呪文が残らないという代償もありました。

2024年版で何が変わったか

2024年版では、レベル2のPaladin’s Smiteにより『神聖なる一撃』を常に準備し、大休憩ごとに1回、呪文スロットを使わず発動できます。『神聖なる一撃』自体はレベル1の力術呪文です。

項目2014年版2024年版
ルール上の種類クラス特徴パラディン呪文
発動近接武器攻撃の命中時、アクション不要近接武器または素手打撃の命中直後、ボーナス・アクション
1ターンの回数命中とスロットがあれば複数回可能通常はボーナス・アクションが1回なので1回
無料使用なし大休憩ごとに1回
1レベル時の追加2d82d8
高レベル化1レベル上がるごとに1d8、通常最大5d81レベル上がるごとに1d8。SRD本文に別の上限記載はない
対象近接武器攻撃近接武器または素手打撃
構成要素なし音声要素

2024年版は命中直後に発動するため、外れた攻撃へスロットを失いません。クリティカル・ヒットかどうかを見てから使う点も同じです。しかしボーナス・アクションを使うため、同じターンに癒しの手や別のボーナス・アクション呪文は使えません。音声要素がある呪文なので、発声できない状況や、呪文発動を妨げる効果の影響も受けます。

ボーナス・アクションは自分のターンにしか取れません。そのため、2014年版では可能だった機会攻撃など、自分以外のターンに命中した攻撃への神聖なる一撃も、2024年版では行えません。

これは「神聖なる一撃が使えなくなった」という変更ではありません。1ターンの爆発力を抑え、無料使用と呪文・回復・武器熟達を含むターン全体へ判断を分散した変更です。

関係するクラス特徴・呪文・武器ルール

Paladin’s Smiteと無料使用

レベル2以降は『神聖なる一撃』を常に準備するため、準備数を使いません。大休憩ごとの無料使用は、1レベル版の2d8です。呪文スロットを温存したまま確定ダメージを加えられるので、冒険日が終わるまで抱えたままにしないよう、重要な戦闘で使います。

無料使用を最初の命中へ自動投入する必要はありません。雑魚を通常攻撃だけで倒せるなら温存し、次の敵の行動前に倒し切りたい場面、光輝ダメージが必要な場面、クリティカル・ヒットへ合わせる場面を優先します。

命中確認とクリティカル・ヒット

スマイトのダイスは命中後に追加されます。クリティカル・ヒットでは攻撃のダメージ・ダイスを2回振るため、1レベル版なら4d8、2レベル・スロット版なら6d8になります。期待値は次のとおりです。

使用通常命中クリティカル・ヒットフィーンド/アンデッドへの通常命中
無料または1レベル・スロット2d8=平均94d8=平均183d8=平均13.5
2レベル・スロット3d8=平均13.56d8=平均274d8=平均18
3レベル・スロット4d8=平均188d8=平均365d8=平均22.5

ただし「クリティカルまで絶対に使わない」方針も危険です。各攻撃のクリティカル率は通常5%で、戦闘や冒険日が終われば温存した無料使用の価値は0です。無料使用は重要な通常命中にも使い、有料スロットほどクリティカルを優先する、と段階を分けると扱いやすくなります。

癒しの手との競合

2024年版の癒しの手もボーナス・アクションです。同じターンに『神聖なる一撃』と両方は使えません。味方を回復して行動可能に戻せば、その味方の次のターン全体を取り戻せることがあります。スマイトの平均9点より価値が高い場面も多いため、攻撃前に戦場を確認します。

『ディヴァイン・フェイヴァー』との使い分け

2024年版の『ディヴァイン・フェイヴァー』はボーナス・アクションで発動し、1分間、武器攻撃の命中ごとに1d4光輝ダメージを加えます。SRD 5.2.1では精神集中を必要としません。

同じターンに『神聖なる一撃』は使えませんが、複数ラウンド・複数攻撃が見込めるなら、1レベル・スロットを継続ダメージへ変える選択です。反対に「今の1回で倒す」「クリティカルが出た」「フィーンド/アンデッドが相手」なら『神聖なる一撃』が向きます。

武器熟達と攻撃回数

両手武器型はグレートソードのGrazeで外れたターンの最低ダメージを得られます。ただしGrazeによるダメージは攻撃の命中ではないため、それをきっかけに『神聖なる一撃』は使えません。

盾型はロングソードのSapなどで敵の攻撃を弱められます。二刀流型はシミターのNickにより、軽武器の追加攻撃を攻撃アクションへ移し、ボーナス・アクションを『神聖なる一撃』へ残せます。詳しくは武器熟達の解説を参照してください。

PHB特技との競合

2024年版PHBの《大業物の使い手》、《長柄の使い手》、《二刀の使い手》などはSRD 5.2.1に収録されていません。これらにはボーナス・アクションを使う効果や、攻撃回数を変える効果があります。本記事では数値を計算へ入れず、採用する場合はPHB本文で『神聖なる一撃』との行動競合を確認します。

複数のビルド案と能力値の優先順位

案1:【筋力】両手武器の討伐型

武器攻撃の命中と基礎ダメージを優先し、重要な命中へスマイトを重ねます。ボーナス・アクションを常用する基本クラス特徴が少ないため、スマイトを選びやすい構成です。盾を持たないぶん、前線での被弾は増えます。

案2:【魅力】優先の盾・オーラ型

レベル6の防護のオーラ、呪文セーヴ難易度、レベル9のAbjure Foesを重視します。武器命中率は【筋力】優先型より下がりますが、スマイトは命中後に使うため、外れた攻撃でスロットを失いません。自分と味方のセーヴを高めることを主役とし、スマイトは好機に絞ります。

案3:Nick二刀流の命中機会型

Nickで軽武器の追加攻撃を攻撃アクションへ入れ、ボーナス・アクションをスマイトへ残します。レベル5なら3回の攻撃ロールから命中を選べるため、スマイトを使えないターンが減ります。盾のACを失い、複数の武器へ装備価値が分散する点は代償です。

レベル1・5・9前後での比較

武器ダメージ試算の前提

下表はスマイトを使わない通常ラウンドの武器ダメージです。スマイトは命中確認後に加えるため、別表の平均値を、実際に使った1命中へ加えて考えます。

レベル両手武器型盾・オーラ型Nick二刀流型
1約6.9約5.1約6.9
5約15.0約9.5約15.2
9約16.3約8.7約17.1

盾・オーラ型の値がレベル9で下がるのは、比較対象のACが上がる一方、先に【魅力】を20へ伸ばし、武器の【筋力】修正値が大きく伸びていないからです。その代わりレベル6以降、防護のオーラは自分と10フィート以内の味方の全セーヴへ+5を与えます。レベル9のAbjure Foesの難易度も高くなります。これは攻撃を失敗したビルドではなく、武器ダメージを味方全体の防御と制御へ交換した結果です。

レベル1:スマイト前の設計を確認する

2024年版パラディンはレベル1から呪文発動と武器熟達を得ますが、Paladin’s Smiteはレベル2です。レベル1では「スマイトがなくても何をするか」を確認します。両手武器型はGraze、盾型はACとSap、二刀流型はNickによる2回攻撃が土台です。

レベル5:1ターン1回を前提にする

レベル5では追加攻撃を得て、呪文スロットは1レベル4個、2レベル2個です。無料使用も1回あります。2014年版なら2回の命中へ2スロットを使えましたが、2024年版は通常1回だけです。

無料使用または1レベル・スロットなら、命中したラウンドの値へ平均9を加えます。2レベル・スロットなら平均13.5です。二刀流型は3回のうちどれかが命中する確率が高い一方、スマイトの回数自体が増えるわけではありません。

レベル9:3レベル・スロットを何に残すか

レベル9では1レベル4個、2レベル3個、3レベル2個のスロットを持ちます。3レベル版『神聖なる一撃』は通常命中で平均18、クリティカルで平均36ですが、3レベル・パラディン呪文にも同じスロットを使います。

敵1体を今倒せば大きな被害を防げるなら、平均18点の追加ダメージは強力です。複数の敵を止める、味方を支援する、戦闘後の問題を解決するといった用途が重要なら、最高レベルのスロットを呪文へ残し、無料使用や低レベル・スロットでスマイトする判断が有効です。

各ビルドが得るもの・失うもの

ビルド得るもの失うもの・注意点
【筋力】両手武器型高い基礎打撃、Graze、スマイトを使わないラウンドも安定盾のAC+2を失う。大型武器向け特技とボーナス・アクションが競合し得る
【魅力】盾・オーラ型高AC、防護のオーラ、呪文DC、Abjure Foes。味方全体への貢献武器命中率と通常ダメージが遅れて伸びる。スマイト機会も減りやすい
Nick二刀流型命中機会が多く、軽武器の追加攻撃とスマイトを同じターンに使える盾を失い、武器2本が必要。《二刀の使い手》の追加攻撃はスマイトとボーナス・アクションを競合

『神聖なる一撃』だけのダイスは、どのビルドでも同じです。違うのは、命中を得る確率、スマイトを使わないラウンドの価値、同じボーナス・アクションで諦めるものです。

どんなプレイヤーに向いているか

両手武器型が向く人

盾・オーラ型が向く人

Nick二刀流型が向く人

2014年版キャラクターからの移行案

ノヴァ型から「1回の好機」型へ

2014年版で、追加攻撃の両方へ神聖なる一撃を使っていたキャラクターは、1ターンの上限を先に受け入れる必要があります。代わりに大休憩ごとの無料使用を得るため、低重要度の戦闘でも1回は使いやすくなりました。

キャラクターシートには、次の優先順位を書いておくと迷いにくくなります。

  1. 倒れた味方を癒しの手で復帰させる必要があるか
  2. クリティカル・ヒット、フィーンド/アンデッド、撃破可能な重要敵か
  3. 無料使用が残っているか
  4. そのスロットを戦闘後まで残す理由があるか

盾型は【魅力】を再評価する

2014年版で【筋力】だけを優先していた盾型は、防護のオーラを中心にするなら【魅力】を上げる価値が増します。2024年版ではAbjure Foesなど【魅力】を使う基本クラス特徴もあるため、【筋力】16・【魅力】17のような開始値へ組み直す案があります。能力値の再配分はDMと合意してください。

二刀流はNickを選ぶ

2014年版二刀流パラディンは、ボーナス・アクション攻撃とスマイトが直接競合するようになりました。シミターのNickを熟達武器にすれば、軽武器由来の追加攻撃を攻撃アクションへ移せます。《二刀の使い手》まで採用する場合は、そのボーナス・アクション攻撃とスマイトを同じターンに両立できない点を確認します。

長柄・大業物型はボーナス・アクション表を作る

2014年版で《長柄の使い手》や《大業物の使い手》を使っていた場合、2024年版の同名特技を読み直し、次のような簡単な優先表を作ります。

移行時の確認リスト

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参考資料

※数値表は前提を揃えた筆者試算です。ルール本文の事実と、スロット使用の推奨を分けて記載しています。2014年版で既訳のある用語はサイト内の2014年版用語集に従い、2024年版で正式な日本語名を確認できない固有特徴名は英語を主体にしています。