『Ravenloft: The Horrors Within』紹介——16の戦慄界と17の暗黒卿

『Ravenloft: The Horrors Within』は、レイヴンロフトを舞台にホラー・キャンペーンを作るための、2024年版対応サプリメントです。2026年6月16日に発売され、7つのサブクラス、16の戦慄界、17の暗黒卿、各戦慄界の短編アドベンチャー、ホラー演出の手引き、41体のモンスターと10人の領域住民などを収録しています。

先に結論

本書は、『Curse of Strahd』のように最初から最後まで筋書きが用意された長編アドベンチャーではありません。既存の戦慄界で短編やキャンペーンを始めたり、独自の暗黒卿と戦慄界を作ったりするためのホラー・キャンペーン用ツールキットです。プレイヤー向け選択肢もありますが、内容の中心はDM向けです。

本書の内容はSRD 5.2.1には収録されていません。この記事では数値やルール本文を転載せず、公式の目次と紹介記事で公開されている範囲から、収録内容と使いどころを整理します。既刊で日本語訳を確認できる用語は日本語を主体にし、正式な日本語名を確認できない新しい固有名は、独自に訳さず英語で表記します。

基本情報

項目内容
原題Ravenloft: The Horrors Within
発売日2026年6月16日
形式紙書籍/デジタル版(D&D Beyond)
対応ルール2024年版D&D
主な対象ホラー・キャンペーンを作るDM、レイヴンロフトを舞台にするプレイヤー
主な内容サブクラス7種、種族4種、背景4種、起源特技2種、Dark Gifts 9種、戦慄界16か所、暗黒卿17体、ホラー運営資料、41体のモンスターと10人の領域住民
言語英語

米国、カナダ、英国などの一部店舗では2026年6月2日から先行販売されましたが、公式の一般発売日は6月16日です。価格は販売形態や地域によって変わるため、購入時に公式ストアで確認してください。

序章と全5章の構成

主な内容
Introduction: Domains of Dread本書の使い方、レイヴンロフトの秘密、霧の領域、レベル別アドベンチャー
第1章 Character Optionsサブクラス、背景、種族、起源特技、Dark Gifts
第2章 Domains of Ravenloft16の戦慄界、17の暗黒卿、各領域の短編アドベンチャーとキャンペーン案
第3章 Ravenloft Adventures戦慄界と暗黒卿の使い方、脱出、敵と味方、ホラー演出、Haunted Bastions
第4章 Creating Domains of Dread暗黒卿と戦慄界の作成、10種類のホラー・ジャンル
第5章 Denizens of the Mistsホラー・モンスター、レイヴンロフトの人物、脅威度別一覧
Appendix: Tarokka Deckタロッカ・カードを占い、冒険、戦慄界の作成に使うための資料

第2章では、設定紹介に加えて、各戦慄界ですぐ始められる短編アドベンチャーと長期キャンペーンへ発展させる指針が用意されています。1冊の長編シナリオを遊ぶ本というより、複数の恐怖世界から舞台と敵を選んで物語を組み立てる本です。

7つのサブクラスとキャラクター選択肢

7つのサブクラスのうち、ReanimatorとHollow Wardenは新規サブクラスです。残る5つは2014年版ルールの既刊に登場した選択肢を、2024年版向けに再設計しています。

クラスサブクラス紹介の焦点
アーティフィサーReanimator死体をつなぎ合わせて作ったクリーチャーを操る
バードCollege of Spirits死者や霊の物語を呼び起こして力にする
クレリック墓場の領域(Grave Domain)生と死の境界を守り、死を冒涜する存在に立ち向かう
レンジャーHollow Warden異界の影響で変質した荒野と結びつく
ローグファントム(Phantom)死者の知識と霊的な力を利用する
ソーサラーShadow Sorcery影の力を魔法の源とする
ウォーロックUndead Patron不死の存在との契約から力を得る

このほか、キャラクターの出自をホラー世界へ結びつける選択肢がまとまっています。

分類収録内容
種族4種Dhampir、Hexblood、Lupin、Reborn
背景4種Haunted One、Investigator、Mist Wanderer、Spirit Medium
起源特技2種Sharp Eye、Survivor
Dark Gifts 9種Aberrant Anatomy、Echoing Soul、Gathered Whispers、Living Shadow、Mist Walker、Second Skin、Symbiotic Being、Touch of Death、Watchers

Dark Giftsは、利益だけでなく恐ろしい代償も伴う特技の一分類です。プレイヤーがDMの許可を得て選ぶほか、キャンペーン中の報酬や出来事の結果としてDMが与える使い方も想定されています。能力を増やすだけでなく、「その力をどこから得たのか」「代償とどう向き合うのか」をキャラクターの物語に組み込む選択肢です。

各サブクラス、種族、背景、Dark Giftsの役割は、7つのサブクラスとDark Giftsで詳しく紹介しています。

16の戦慄界と17の暗黒卿

戦慄界は、影界に隠された孤立した小世界です。それぞれが霧に囲まれ、暗黒卿と呼ばれる邪悪な存在の牢獄になっています。暗黒卿は領域の恐怖を生み出す中心人物ですが、自身もまた、その欲望や罪を映した世界に閉じ込められています。

本書で大きく扱われる戦慄界と暗黒卿は次のとおりです。Borcaには2人の暗黒卿がいるため、戦慄界は16か所、暗黒卿は17体になります。

戦慄界暗黒卿
バロヴィア(Barovia)ストラード・フォン・ザロヴィッチ
BorcaIvana Boritsi、Ivan Dilisnya
DarkonAzalin Rex
DementlieuSaidra d’Honaire
FalkovniaVladeska Drakov
Har’AkirAnkhtepot
HazlanHazlik
InnsmouthCthulhu
KalakeriRamya Vasavadan
KartakassHarkon Lukas
LamordiaViktra Mordenheim
MordentWilfred Godefroy
ShadowlandsEbonbane
Sithicusソス卿(Lord Soth)
TepestMother Lorinda
ValachanChakuna

バロヴィアとストラードに加え、DarkonのAzalin Rex、Sithicusのソス卿など、レイヴンロフトの歴史で重要な暗黒卿がデータ・ブロック付きで収録されています。新しい戦慄界Innsmouthでは、Cthulhuを暗黒卿とする宇宙的恐怖が扱われます。

各戦慄界には、領域と暗黒卿の説明だけでなく、短編アドベンチャーと長期キャンペーン用の案があります。ひと晩だけ霧に迷い込む短編にも、複数の戦慄界を巡るキャンペーンにも使える構成です。

各領域のホラーの方向性と代表的な暗黒卿は、レイヴンロフト16の戦慄界で整理しています。

ホラー・キャンペーンを作るためのDM資料

第3章では、戦慄界と暗黒卿を物語に組み込む方法、霧からの脱出、敵と味方の扱い、恐怖を感じさせる雰囲気とロールプレイなどを扱います。2024年版『ダンジョン・マスターズ・ガイド』のバスチオンを、呪われた屋敷や取り戻すべき拠点として使うHaunted Bastionsの仕組みも収録されています。

第4章では、暗黒卿を起点に独自の戦慄界を作れます。扱われるホラー・ジャンルは、Body Horror、Cosmic Horror、Dark Fantasy、Folk Horror、Ghost Stories、Gothic Horror、Disaster Horror、Occult Detective Stories、Psychological Horror、Slasher Horrorの10種類です。舞台の外見だけでなく、何を恐怖の中心に置くかを選ぶための分類になっています。

付録では、タロッカ・カードを占いの演出に使うだけでなく、冒険の予兆を示したり、新しい戦慄界を無作為に組み立てたりする方法も紹介されます。専用の物理カードがなくても本書の資料は利用できますが、別売りの『Ravenloft: The Horrors Within - Tarokka Deck』も用意されています。

ホラーは、楽しめる題材と避けたい題材の個人差が大きいジャンルです。公式紹介でも、セッション0などを通して、扱ってよい内容と避ける内容を参加者同士で確認することが勧められています。

暗黒卿と領域の作成手順、10のホラー・ジャンル、タロッカ・カード、Haunted Bastionsは、独自の戦慄界を作るで詳しく紹介しています。

41体のモンスターと10人の領域住民

第5章には、41体のモンスターと10人の領域住民のデータが収録されています。DullahanやLoup Garouなどの再登場クリーチャーに加え、Elder Thing、Mi-Go、Nightgaunt、Shoggothなど、Innsmouthをはじめとする宇宙的恐怖に使える存在も含まれます。

さらに、Rudolph van Richten、Ez d’Avenir、Madam Evaなど、レイヴンロフトを代表する人物も登場します。17の暗黒卿と合わせて、敵役だけでなく、案内役や一時的な協力者を用意する資料としても使えます。

既刊レイヴンロフト本との関係

『Van Richten’s Guide to Ravenloft』は2014年版ルール向けのサプリメントで、戦慄界、ホラー・ジャンル、独自領域の作成、キャラクター選択肢などを扱っています。『Ravenloft: The Horrors Within』は同じ題材の一部を2024年版向けに再設計し、17の暗黒卿のデータ・ブロック、各戦慄界の短編アドベンチャー、長期キャンペーン用の指針などを加えています。

一方、『Curse of Strahd』はバロヴィアを舞台にした長編アドベンチャーです。本書だけで『Curse of Strahd』の物語を遊べるわけではなく、反対に『Curse of Strahd』を遊ぶために本書が必須というわけでもありません。バロヴィア以外の戦慄界へ舞台を広げたい場合や、独自のホラー・キャンペーンを作りたい場合に、本書の役割が大きくなります。

こんな人に向いている

反対に、最初から最後まで用意された1本の長編アドベンチャーだけを探している場合は、本書単独では目的に合いません。また、プレイヤー向け選択肢だけが目当ての場合は、全体の多くがDM向け資料であることを確認しておくとよいでしょう。

参考資料

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