敏捷力型バーバリアンは2024年版で終わったのか?——3つの能力値配分を比較

2014年版で【敏捷力】と【耐久力】を伸ばしていたバーバリアンは、2024年版でも戦えます。ただし、もともと攻撃力より防御を選ぶ構成だったうえ、2024年版では【筋力】を参照するクラス特徴が増えました。「使用不能」ではありませんが、同じ能力値コストで得られるものの差は以前より大きくなっています。

この記事は、2024年版バーバリアンの変更点を繰り返すものではありません。変更点を踏まえ、2014年版のキャラクターをどう組み直すかを、【筋力】両手武器型、【筋力】+盾型、【敏捷力】+【耐久力】型の3案で比較します。

先に結論

敏捷力型バーバリアンは終わっていません。しかし2024年版では、「高いACとイニシアチブを得る代わりに、クラスの攻撃・技能・サブクラス特徴の一部を手放す」選択であることが、2014年版以上にはっきりしました。

攻撃とクラス特徴を広く使いたいなら【筋力】両手武器型、防御とクラス特徴を両立したいなら【筋力】+盾型が素直です。【敏捷力】+【耐久力】型は、AC、イニシアチブ、【敏捷力】セーヴを最優先し、与ダメージや【筋力】依存特徴を割り切れるプレイヤーに向きます。

2014年版の敏捷力型はどう機能していたか

最初に誤解を解いておきます。2014年版でも、敏捷力型がバーバリアンの主要な攻撃特徴を【敏捷力】で利用できたわけではありません。

したがって、レイピアなどを【敏捷力】で使うバーバリアンは、2014年版の時点で激怒の追加ダメージと捨て身の攻撃を利用できませんでした。

それでも敏捷力型に役割があったのは、鎧わぬ守りのACが「10+【敏捷力】修正値+【耐久力】修正値」だったからです。高い【敏捷力】はACだけでなく、イニシアチブ、【敏捷力】セーヴ、〈隠密〉などにも働きます。レベル2の危険感知は【敏捷力】セーヴへ有利を与えるため、高い修正値と組み合わさります。

つまり2014年版の敏捷力型は、攻撃型というより、殴打・刺突・斬撃ダメージへの抵抗、高AC、高い【敏捷力】セーヴを重ねる防御型でした。攻撃面のクラス特徴を一部使わず、敵の攻撃と範囲効果の両方に耐えることを選ぶ構成です。

2024年版で何が変わったか

2024年版でも、激怒の追加ダメージと捨て身の攻撃は【筋力】基準です。敏捷力型が失った既存機能というより、【筋力】を上げたときだけ伸びる新しい選択肢が増えたことが差を広げています。

特徴【筋力】との関係敏捷力型への影響
激怒の追加ダメージ武器または素手打撃で【筋力】を使う攻撃が条件【敏捷力】攻撃には加算されない
捨て身の攻撃【筋力】を使う攻撃ロールへ有利【敏捷力】攻撃には適用されない
原始の知恵追加の技能習熟を得る。さらに激怒中、指定された技能の能力値判定を【筋力】判定にできる技能習熟は得られるが、【筋力】が低いと能力値を置き換える価値が小さい
Brutal Strike捨て身の攻撃を使い、そのターンの【筋力】攻撃ロール1回について、あらゆる有利を放棄して発動。不利がある攻撃は選べない【敏捷力】攻撃では利用できない
狂戦士の道の狂乱捨て身の攻撃中、最初に命中した【筋力】攻撃へ追加ダメージ【敏捷力】攻撃では利用できない
狂戦士の道の恐怖の存在セーヴ難易度が【筋力】基準【筋力】が低いと成功されやすい
武器熟達バーバリアンは近接武器の熟達特性を利用【敏捷力】でも使える武器はあるため、敏捷力型にも明確な強化

一方、敏捷力型にも追い風はあります。危険感知は、2014年版の「見える効果だけ」という条件がなくなり、無力状態でない限り【敏捷力】セーヴに有利を得ます。武器熟達(Weapon Mastery、仮訳)では、レイピアのVexやシミターのNickなど、妙技武器の熟達特性を利用できます。

ルール上の結論は、敏捷力型が禁止・無効になったのではなく、【筋力】型だけが活かしやすいクラス特徴と選択肢が増えたです。

関係するクラス特徴・特技・武器ルール

激怒と捨て身の攻撃

2024年版の激怒は、【筋力】を使う武器攻撃または素手打撃でダメージを与えたときに追加ダメージを得ます。2014年版から、投擲武器などを使う【筋力】攻撃にも適用範囲が広がりましたが、【敏捷力】攻撃へ広がったわけではありません。

捨て身の攻撃は、発動すると次の自分のターン開始時まで【筋力】攻撃ロールに有利を得ます。代わりに同じ期間、自分への攻撃ロールも有利になります。敏捷力型はこの攻防の交換を利用できない代わりに、自分への攻撃を有利にする必要もありません。

Brutal Strikeと狂戦士の道

レベル9のBrutal Strikeは、捨て身の攻撃を使ったターンに、【筋力】攻撃ロール1回についてあらゆる有利を放棄し、命中時に1d10追加ダメージと押し出しまたは減速を加えます。不利がある攻撃は選べず、【敏捷力】攻撃では発動できません。

SRD 5.2.1収録の狂戦士の道も【筋力】寄りです。レベル3の狂乱は、激怒中に捨て身の攻撃を使い、そのターン最初に命中した【筋力】攻撃へ追加ダメージを与えます。レベル14の恐怖の存在も【筋力】基準のセーヴ難易度を使います。

鎧わぬ守りと盾

鎧わぬ守りは両版とも「10+【敏捷力】修正値+【耐久力】修正値」です。盾を使っても有効なので、【筋力】型でも【敏捷力】14と【耐久力】16ならAC15、盾を持てばAC17を確保できます。

敏捷力型は同じ時点で【敏捷力】17、【耐久力】16ならAC16です。盾も持てますが、レイピアと盾を使うなら攻撃回数は増えず、二刀流を選ぶなら盾のACを失います。

武器熟達と特技

【筋力】両手武器型は、グレートソードのGraze、グレートアックスのCleaveなどを選べます。【筋力】+盾型は、ロングソードのSap、バトルアックスのTopple、ウォーハンマーのPushなど、守りや位置操作へつながる武器を使えます。敏捷力型はレイピアのVexや、シミターのNickを利用できます。詳しい効果は武器熟達の解説を参照してください。

《大業物の使い手》など2024年版PHBの一般特技はSRD 5.2.1に収録されていません。本記事の数値比較には含めず、採用する場合はPHB本文で現在の条件を確認してください。

3つのビルド案と能力値の優先順位

以下はポイント購入を使い、背景から能力値を+2/+1した後の一例です。背景、種族、特技を固定する提案ではありません。

レベル1の例優先順位武器例主な役割
【筋力】両手武器型【筋力】17、【敏捷力】14、【耐久力】16【筋力】→【耐久力】→【敏捷力】グレートソード、グレートアックスダメージ、Brutal Strike、敵の制御
【筋力】+盾型【筋力】17、【敏捷力】14、【耐久力】16【筋力】→【耐久力】→【敏捷力】バトルアックス+盾ACとクラス特徴の両立
【敏捷力】+【耐久力】型【敏捷力】17、【耐久力】16、【筋力】10前後【敏捷力】→【耐久力】→ほかレイピア+盾、またはショートソード+シミターAC、イニシアチブ、【敏捷力】セーヴ

【筋力】型はレベル4・8で【筋力】20を目指しやすく、その後に【耐久力】を伸ばせます。敏捷力型は【敏捷力】を20にした後も、鎧わぬ守りを伸ばすため【耐久力】へ能力値上昇を使いたくなります。攻撃能力値とAC能力値が同じなのは利点ですが、【筋力】依存特徴を回収する余裕は生まれにくい配分です。

レベル1・5・9前後での比較

数値比較の前提

下表は「どの武器が常に最適か」を決めるものではなく、能力値と【筋力】依存特徴が継続ダメージへ与える影響を見るための試算です。

レベル【筋力】両手武器型(グレートソード)【筋力】+盾型(バトルアックス)【敏捷力】+【耐久力】型(レイピア)
1約8.2約6.4約5.1
5約24.2約19.3約11.5
9約27.7約22.8約12.8

差が大きく見える主因は、武器ダイスだけではありません。【筋力】型は激怒の追加ダメージを得て、レベル2以降は捨て身の攻撃で命中率も上げています。敏捷力型はその代わり、敵から攻撃されるときに有利を与えません。

レベル9では、【筋力】型だけがBrutal Strikeを選べます。有利を放棄した1回が命中すれば1d10と戦場操作を加えられるため、実戦上の差は表よりさらに広がり得ます。一方、敏捷力型がVexで次の攻撃を有利にする、盾で被弾を減らすといった効果は表へ入れていません。数値は役割すべての優劣ではなく、攻撃部分だけの比較です。

防御面の目安

鎧わぬ守りだけを見ると、【筋力】両手武器型はAC15、【筋力】+盾型はAC17です。敏捷力型はレベル1でAC16、レベル5で17、レベル9で18になります。レイピア+盾なら、そこへ盾の+2を加えられます。

さらに敏捷力型は、イニシアチブが【筋力】型よりレベル1で+1、レベル5で+2、レベル9で+3高い想定です。【敏捷力】セーヴも同じ差があり、危険感知の有利と組み合わさります。ここが敏捷力型の対価です。

各ビルドが得るもの・失うもの

ビルド得るもの失うもの・注意点
【筋力】両手武器型激怒、捨て身の攻撃、Brutal Strikeを最大限活用。大型武器の熟達特性盾を持てずACが低め。捨て身の攻撃中は被弾しやすい
【筋力】+盾型【筋力】依存特徴を維持しながらAC+2。SapやToppleで守りや支援も可能両手武器より武器ダイスが小さい。盾と武器で両手が埋まる
【敏捷力】+【耐久力】型高AC、高イニシアチブ、高い【敏捷力】セーヴ。捨て身の攻撃の防御リスクを負わない激怒追加ダメージ、捨て身の攻撃、Brutal Strike、狂戦士の道の一部を使えない

敏捷力型の価値は、DMがどんな攻撃を出すかでも変わります。攻撃ロールが多い戦闘では高ACが働きます。範囲効果が多い戦闘では高い【敏捷力】セーヴが働きます。一方、敵が【判断力】セーヴや【耐久力】セーヴを多用するなら、【敏捷力】だけを伸ばした利点は小さくなります。

また、バーバリアンが得る殴打・刺突・斬撃ダメージへの抵抗は、命中後のダメージを減らします。もともと耐えやすい攻撃に対して、さらにACへ能力値を投じる価値が卓によって違う点も確認してください。

どんなプレイヤーに向いているか

【筋力】両手武器型が向く人

【筋力】+盾型が向く人

【敏捷力】+【耐久力】型が向く人

2014年版キャラクターからの移行案

案1:敏捷力型のまま移行する

キャラクターの俊敏さが物語上の核なら、能力値を無理に入れ替える必要はありません。レイピアのVex、またはショートソードとシミターのVex+Nickを選び、武器熟達で2024年版の新しい手数を得ます。サブクラスは、【筋力】攻撃を要求する狂戦士の道を避け、実際に使う2024年版PHBの本文を見て、能力値への依存が少ない選択肢を確認してください。

この案では、キャラクターシートに「激怒の抵抗と維持は使うが、【敏捷力】攻撃へ激怒ダメージは加えない」「Brutal Strikeは使えない」と明記すると、卓上の誤処理を防げます。

案2:【筋力】+盾型へ寄せる

2014年版で盾を持つ防御型だったなら、外見と役割を保ちやすい移行です。DMと相談して2024年版のキャラクター作成手順で能力値を組み直し、【筋力】17、【敏捷力】14、【耐久力】16前後を目指します。ACは敏捷力特化より少し下がりますが、激怒の追加ダメージ、捨て身の攻撃、Brutal Strikeを回収できます。

案3:物語上の転機として両手武器型へ変える

旧キャラクターが「守りに徹していたが、新しい戦い方を学んだ」という物語を作れるなら、両手武器へ切り替える案です。能力値の再配分や装備変更は通常のレベルアップだけでは自動的に起きないため、キャンペーン移行時の特例としてDMの同意を得てください。

移行時の確認リスト

敏捷力型を残すかどうかは、ダメージ表だけで決める必要はありません。ただし、2024年版で【筋力】型との差が広がった事実は、移行前に共有したほうが納得して遊べます。

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参考資料

※ルール本文から確認できる条件と、筆者によるビルド評価を分けるため、数値比較の前提を明記しています。2014年版で既訳のある用語はサイト内の2014年版用語集に従い、2024年版で正式な日本語名を確認できない固有特徴名と熟達特性名は英語を主体にしています。