マジック・ミサイルのダメージは何回振る?——呪文改訂ピックアップ #3
キュア・ウーンズとヒーリング・ワードに続く「呪文改訂ピックアップ」第3回。今回は、マジック・ミサイル(Magic Missile)のダメージ・ダイスを何回振るかという問題を扱います。
マジック・ミサイルのゲーム上の効果は、2014年版から変わっていません。1レベルでは3本のダートを作り、各ダートが射程内の対象へ自動的に命中して、1d4+1の[力場]ダメージを与えます。
変わったのは、複数の対象へ同時にダメージを与えるときの一般ルールです。
先に結論
- 2024年版では、ダート1本ごとに1d4+1を振るのが最も素直な読み方です
- 2014年版にあった「複数対象へ同時に与えるダメージは1回だけ振る」という一般規定は、2024年版では複数対象へ同時にセーヴを要求する効果に限定されました
- ただし、2024年版のマジック・ミサイルに「各ダートのダメージを個別に振る」と明記されたわけではなく、この点を直接扱った公式裁定も確認できません
したがって、本記事では個別ロールを推奨しますが、「公式に論争が完全決着した」とまでは扱いません。
マジック・ミサイル自体の効果は同じ
| 項目 | 2014年版(SRD 5.1) | 2024年版(SRD 5.2.1) |
|---|---|---|
| 射程 | 120フィート | 120フィート |
| 1レベル時の本数 | 3本 | 3本 |
| 命中判定 | 攻撃ロールもセーヴもなく命中 | 攻撃ロールもセーヴもなく命中 |
| ダメージ | 1本につき1d4+1[力場] | 1本につき1d4+1[力場] |
| 着弾 | 全ダートが同時に命中 | 全ダートが同時に命中 |
| 上位スロット | 1レベル上がるごとに+1本 | 1レベル上がるごとに+1本 |
英文には「hits」から「strikes」への変更などがありますが、ゲーム上の処理を変えるものではありません。ダートの本数、ダメージ、射程、同時着弾、上位スロットによる増加は同じです。
2014年版で「1回だけ振る」と読まれた理由
2014年版の「ダメージ・ロール」には、1つの呪文や効果が複数の対象へ同時にダメージを与える場合、ダメージは全対象ぶんを1回だけ振るという規定がありました。『ファイアーボール』や『フレイム・ストライク』が例に挙げられています。
マジック・ミサイルも複数の対象へ同時に命中させられるため、この規定を適用し、1d4+1を1回だけ振って、その結果を各ダートへ使うという読み方が生まれました。
当時のルール・デザイナーであるJeremy Crawford氏も、2016年9月の投稿で、ルール通りならダメージ・ダイスは1個だけ振る一方、意図としてはどちらを選んでも構わないという趣旨を示しています。
ただし、デザイナーのSNS上の発言は公式裁定ではありません。公式裁定として扱われるのはSage Advice Compendiumに掲載された回答であり、マジック・ミサイルのダメージ回数は同書に収録されていません。さらに、2014年版の一般規定は「複数の対象」を条件としていたため、すべてのダートを1体へ集中させた場合まで明確に解決していたとは言い切れません。
2024年版では一般規定の対象が狭くなった
2024年版では、複数対象のダメージを1回だけ振る規定が「セーヴィング・スローとダメージ」の節へ移り、次の条件に限定されました。
ダメージを与える効果が、2体以上の対象へ同時にセーヴィング・スローを要求する場合、全対象ぶんのダメージを1回だけ振る。
マジック・ミサイルは、対象にセーヴィング・スローも攻撃ロールも要求しません。そのため、この規定によってダートのダメージを1回にまとめることはできなくなりました。
一方、一般のダメージ・ロール規定は、武器・呪文・モンスター能力が指定したダメージ・ダイスを振り、修正値を加えて対象へ与えるとしています。マジック・ミサイルの本文は「各ダートが対象へ1d4+1のダメージを与える」という構造なので、各ダートについて1d4+1を振るのが最も自然です。
それでも「完全に明文化された」とは言えない
2024年版から削除されたのは、マジック・ミサイルのダメージを共有させていた2014年版の根拠です。呪文本文に「ダートごとに個別に振る」という一文が追加されたわけではありません。また、「全ダートが同時に命中する」という文は2024年版にも残っています。
このため、2024年版のルールからは個別ロールが強く導かれるものの、共有ロールを明文で禁止した公式回答があるわけではありません。ルール解釈と公式裁定の有無を分けて考える必要があります。
卓での運用
- 推奨運用:ダート1本につき1d4+1を1回振る。1レベル版なら3回振る
- 対象の決定:全ダートは同時に命中するため、ダメージを振る前に、どのダートをどの対象へ向けるか決める
- 1体へ集中させる場合:3本なら3回の1d4+1を合計する
- 共有ロールを使う場合:1d4+1を1回だけ振って全ダートへ適用するのは、2024年版が明示した処理ではなく、卓の裁定として採用する
- 2014年版を使う場合:2014年版の一般規定と当時のデザイナー見解を採るか、ダートごとに振る運用を採るか、DMと確認する
この違いは、2024年版の力術士(Evoker)が持つ力術強化(Empowered Evocation)にも影響します。この特徴は、力術呪文の「1回のダメージ・ロール」に【知力】修正値を加えます。ダートごとに振る運用なら、修正値を加えられるのはそのうち1回だけです。
まとめ
マジック・ミサイルの基本性能は2014年版と同じです。しかし、2014年版で共有ロールの根拠となっていた一般規定は、2024年版では「複数対象へ同時にセーヴを要求するダメージ」だけを扱う規定へ変わりました。
そのため、2024年版では各ダートの1d4+1を個別に振るのが最も素直な処理です。ただし、呪文本文や公式Q&Aが個別ロールを直接命じたわけではないため、「公式裁定で完全決着」と断定せず、卓で運用を共有しておくのが安全です。
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参考資料
- D&D Beyond Basic Rules (2024): Magic Missile
- D&D Beyond Basic Rules (2024): Damage and Healing
- D&D Beyond Basic Rules (2014): Magic Missile
- D&D Beyond Basic Rules (2014): Damage Rolls
- D&D Beyond: Sage Advice Compendium
- SRD 5.2.1
※2014年版で既訳のある用語は、サイト内の2014年版用語集に従って日本語を主体に表記しています。2024年版で正式な日本語訳を確認できない固有名は、英語原文を基準にしています。