2024年版モンクは何が変わった?——レベル別変更点と新しい武術

武術ダイスがレベル1からd6で始まり(2014年版はd4)、モンク武器の対象が単純近接武器全般と、「軽武器」特性を持つ軍用近接武器へ広がったのが、2024年版モンクの入り口における大きな変更点です。SRD 5.1(2014年版)とSRD 5.2.1(2024年版)の原文、およびD&D Beyond公式記事に基づいて整理します。

先に結論

武術ダイスはレベル1のd6からレベル17のd12まで成長し、モンク武器も単純近接武器全般+「軽武器」特性を持つ軍用近接武器へ拡大されました。レベル2の「気(Ki)」はMonk’s Focusへ再編され、新特徴Uncanny Metabolismにより、イニシアチブを振ったときにフォーカス・ポイントとヒット・ポイントを回復できます。モンクはもともとレベル3でサブクラスを選ぶため、取得タイミングは変わりません。

PHB 2024に収録されたサブクラスは、Warrior of Mercy、Warrior of Shadow、Warrior of the Elements、Warrior of the Open Handの4種です。SRDに原文が収録されているのはWarrior of the Open Handだけです。

レベル13の日月語とレベル15の時知らずの肉体は削除され、レベル18の虚身はSuperior Defenseに置き換わって、不可視化と『アストラル・プロジェクション』の発動能力を失いました。レベル20も、即身成道(気ポイント回復)からBody and Mind(【敏捷力】と【判断力】を各+4)へ変わっています。

全体像——レベル別機能表

レベル2014年版(SRD 5.1)2024年版(SRD 5.2.1)
1鎧わぬ守り、武術武術、鎧わぬ守り
2気、運足法Monk’s Focus、運足法、Uncanny Metabolism
3門派(選択)、矢止めDeflect Attacks、モンク・サブクラス(選択)
4能力値上昇、浮身能力値上昇、浮身
5追加攻撃、朦朧撃追加攻撃、朦朧撃
6“気”打撃、門派の特徴Empowered Strikes、サブクラスの特徴
7身かわし、不動心身かわし
8能力値上昇能力値上昇
9運足法の強化Acrobatic Movement
10無病身Heightened Focus、Self-Restoration
11門派の特徴サブクラスの特徴
12能力値上昇能力値上昇
13日月語Deflect Energy
14金剛心Disciplined Survivor
15時知らずの肉体Perfect Focus
16能力値上昇能力値上昇
17門派の特徴サブクラスの特徴
18虚身Superior Defense
19能力値上昇偉業の証
20即身成道Body and Mind

一見すると特徴名がほぼ総入れ替えですが、レベル6・7・10・13・15・18では、2014年版の特徴が別の内容へ置き換わったか、複数の新特徴へ再編されています。レベル9の「運足法」の強化部分とAcrobatic Movementは同じ効果です。レベル14の金剛心とDisciplined Survivorも、名称とリソース名は変わったものの、基本的な効果は同じです。日月語、時知らずの肉体、虚身にあった不可視化と呪文発動は引き継がれていません。

レベルごとの変更点

レベル1:武術——ダイスが1段階大きく、武器の対象も拡大

2014年版の武術ダイスはd4で始まり、モンク武器はショートソードと、両手用・重武器特性を持たない単純近接武器に限られていました。2024年版はd6スタート(レベル17でd12まで成長)となり、対象も単純近接武器全般+「軽武器」特性を持つ軍用近接武器へ広がっています。

もう1つの変更が、ボーナス・アクションでの素手打撃です。2014年版は「攻撃アクションで素手打撃かモンク武器を使った場合」だけボーナス・アクションの素手打撃ができましたが、2024年版は武術の条件を満たしていれば、攻撃アクションを取らなくてもボーナス・アクションで素手打撃を行えます。加えて、組みつき・突き飛ばしのセーヴDCにも【筋力】の代わりに【敏捷力】を使えるようになりました(組みつき・突き飛ばしの新ルールも参照)。

レベル2:Monk’s Focus——名称変更と基本機能の強化

2014年版の「気(Ki)」はMonk’s Focusへ再編され、リソース名もフォーカス・ポイントに変わりました。ポイント数がモンク・レベルに等しく、小休憩または大休憩で全回復する仕組みは同じです。連打は攻撃アクションを前提としなくなりました。護身は、ポイントなしなら離脱、1点を使えば離脱と回避を同じボーナス・アクションで行えます。疾風足は、ポイントなしなら早足、1点を使えば離脱と早足を同じボーナス・アクションで行い、そのターンの跳躍距離も2倍にします。

あわせてUncanny Metabolismが加わりました。イニシアチブを振ったとき、消費済みのフォーカス・ポイントをすべて回復し、武術ダイス1回の出目+モンク・レベルに等しいヒット・ポイントも回復できます。使用回数は大休憩につき1回です。2014年版のレベル20特徴・即身成道にあった「イニシアチブ時のポイント回復」を、低レベルへ前倒しして強化した形です。

レベル3:Deflect Attacks——近接攻撃にも対応、モンク・サブクラスは移動なし

2014年版の矢止め(Deflect Missiles)は遠隔武器攻撃限定で、ダメージを1d10+【敏捷力】修正値+モンク・レベルぶん軽減し、0まで減らせば矢や投擲武器を投げ返せる特徴でした。2024年版のDeflect Attacksは、[殴打][刺突][斬撃]ダメージを含む攻撃なら、近接・遠隔を問わず対象にできます。ダメージを0まで減らした場合は、フォーカス・ポイント1点を使い、近接攻撃なら5フィート以内、遠隔攻撃なら60フィート以内かつ完全遮蔽の背後にいない、見ることのできるクリーチャーへ【敏捷力】セーヴを要求できます。失敗すると、武術ダイス2回+【敏捷力】修正値ぶん、元の攻撃と同じ種別のダメージを与えます。

サブクラス選択(2014年版:門派、2024年版:モンク・サブクラス)は、両版ともレベル3のままで、取得レベルの変更はありません。

レベル5:朦朧撃——成功時の持続は短縮、セーヴされた場合の効果を追加

2014年版は、近接武器攻撃の命中時に気ポイント1点を消費して朦朧撃を試み、対象は【耐久力】セーヴに失敗すると次の自分のターン終了時まで朦朧状態になりました。2024年版は、モンク武器または素手打撃の命中が条件となり、1ターンに1回という制限が加わりました。朦朧状態の持続は次の自分のターン開始時までと短くなっています。

一方、セーヴに成功した場合も、対象の移動速度が次の自分のターン開始時まで半減し、それまでに行われる対象への次の攻撃ロールが有利になります。「決まれば強いが、セーヴされると空振り」だった2014年版から、失敗しても一定の効果が残る調整です。

レベル6:“気”打撃からEmpowered Strikesへ——処理方法が変更

2014年版の“気”打撃は、素手打撃を魔法の武器による攻撃として扱い、非魔法の攻撃に対する抵抗・完全耐性を越える特徴でした。2024年版のEmpowered Strikesでは、素手打撃が与えるダメージを通常の種別か[力場]から選べます。抵抗を越えやすくする目的は共通しますが、処理は「魔法扱い」から「ダメージ種別の選択」へ変わりました。

レベル7:身かわし——適用外となる状態を明記、不動心は移動

身かわし自体の効果は2014年版から変わっていませんが、2024年版では「無力状態(Incapacitated)の間はこの特徴の恩恵を受けない」ことが明記されています。これは2024年版の他クラスにも見られる文言の整理です。

一方、2014年版レベル7にあった不動心(Stillness of Mind。アクションで自身の魅了状態または恐怖状態を解除する特徴)は、2024年版のレベル7から姿を消しました。同種の効果は後述するレベル10のSelf-Restorationへ移り、アクション不要で、自分のターン終了時に解除する形へ変わっています。

レベル10:無病身が消え、Heightened FocusとSelf-Restorationへ

2014年版の無病身(Purity of Body)は、病気と毒への完全耐性を与える受動的な防御特徴でした。2024年版ではこの特徴がなくなり、代わりに2つの特徴を得ます。

「病気と毒への完全耐性」という受動的な防御そのものは2024年版で失われ、毒状態についてはターン終了時に解除できるという運用へ変わりました。

レベル13:日月語が削除、Deflect Energyに置き換え

2014年版の日月語(あらゆる話し言葉を理解し、自分の言葉も言語を理解できるクリーチャーに通じる)は、2024年版で削除されました。代わりに、レベル3のDeflect Attacksがすべてのダメージ種別に対応するようになるDeflect Energyを得ます。

レベル14:金剛心からDisciplined Survivorへ——名称とリソース名を変更

基本的な効果は同じです。すべてのセーヴィング・スローに習熟し、失敗したセーヴィング・スローを、2014年版は気ポイント1点、2024年版はフォーカス・ポイント1点を消費して振り直せます。どちらの版でも、振り直した結果を使わなければなりません。

レベル15:時知らずの肉体が消滅、Perfect Focusへ

2014年版の時知らずの肉体は、老化による衰弱を受けず、魔法で老化させられず、食料と水を必要としない特徴でした。ただし、寿命による死は防ぎません。2024年版では削除され、代わりにPerfect Focusを得ます。イニシアチブを振ったときにUncanny Metabolismを使わず、フォーカス・ポイントが3点以下なら、4点になるまで回復します。

レベル18:虚身からSuperior Defenseへ——不可視化と呪文発動を削除

2014年版の虚身は、気ポイント4点で1分間不可視状態となり、[力場]以外のダメージへの抵抗を得るほか、8点を使えば物質要素なしで『アストラル・プロジェクション』を発動できました。2024年版のSuperior Defenseは、ターン開始時にフォーカス・ポイント3点を使い、[力場]以外の全ダメージへの抵抗を1分間、または無力状態になるまで得ます。不可視化と呪文発動は削除されました。

レベル19・20:偉業の証とBody and Mind——集大成がまったくの別物に

レベル19の能力値上昇は、他クラスと同じく偉業の証特技の取得に置き換わりました。別の条件を満たす特技も選べます。D&D Beyond公式記事は、モンクへの推奨として直撃の証(Boon of Irresistible Offense)を挙げています。この特技は【筋力】か【敏捷力】を+1(上限30)し、自分が与える[殴打][刺突][斬撃]ダメージで抵抗を無視します。さらに、攻撃ロールのd20で20を出すと、この特技で上昇させた能力値に等しい追加ダメージを与えられます。

レベル20の即身成道(気ポイントが0の状態でイニシアチブを振ると4点回復)は、2024年版でBody and Mindという新特徴に置き換わりました。【敏捷力】と【判断力】をそれぞれ+4(上限25)するという、フォーカス・ポイントとは無関係の能力値強化です。ポイント経済の底上げがレベル2・15へ前倒しされたため、レベル20の枠を能力値強化に使えるようになった、と見ることができます。

PHB収録4サブクラス——改訂の全体像

2024年版のPHBは、全12クラスにサブクラスを4種類ずつ収録しています。2014年版PHBの暗影門・四大門・開手門を改訂・改称したWarrior of Shadow、Warrior of the Elements、Warrior of the Open Handに加え、『ターシャの万物釜』の慈悲門を改訂したWarrior of Mercyが加わりました。

サブクラス位置づけ主な変更点
Warrior of Mercy『ターシャの万物釜』の慈悲門変更が最も少ない。活殺自在の連打(Flurry of Healing and Harm)に大休憩ごとの使用回数を設定
Warrior of Shadow2014年版PHBの暗影門Shadow Artsを大きく再設計。詳細は下記「SRD非収録の3サブクラス」参照
Warrior of the Elements2014年版PHBの四大門全面的に再設計。D&D Beyond公式記事も、4種の中で最も変更が多いと説明
Warrior of the Open Hand2014年版PHBの開手門下記「SRD収録サブクラス」で詳細比較

SRD収録サブクラス:Warrior of the Open Hand——レベル別新旧比較

SRDに原文が収録されているモンクのサブクラスは、Warrior of the Open Hand(2014年版の名称:開手門)1種類だけです。ここはSRD 5.1・5.2.1の原文で直接比較できます。

特徴2014年版(開手門)2024年版(Warrior of the Open Hand)
開手の技(Open Hand Technique)レベル3。連打の命中時、以下から1つを選択:①【敏捷力】セーヴ失敗で伏せ状態、②【筋力】セーヴ失敗で15フィート押す、③次の自分のターン終了時までリアクションを一切取れなくするレベル3。効果は3択とも同種だが、③が「対象の次のターン開始時まで機会攻撃だけを封じる」に縮小(他のリアクションは可能)
肉体の完成(Wholeness of Body)レベル6。アクションで、モンク・レベルの3倍のヒット・ポイントを回復。大休憩につき1回レベル6。ボーナス・アクションで、武術ダイス1回+【判断力】修正値(最低1)のヒット・ポイントを回復。【判断力】修正値回(最低1回)/大休憩
明鏡止水(Tranquility)レベル11。大休憩終了時に『サンクチュアリ』の効果を得るレベル11。明鏡止水は削除。Fleet Stepを新設し、疾風足以外のボーナス・アクションを取った直後にも疾風足を使える
激震掌(Quivering Palm)レベル17。素手打撃命中時に気ポイント3点で振動を開始。アクションで終了させ、対象は【耐久力】セーヴ失敗で0ヒット・ポイント、成功で10d10[死霊]ダメージレベル17。フォーカス・ポイント4点で開始。アクション、または攻撃アクションによる攻撃1回を放棄して終了可能。対象は【耐久力】セーヴ失敗で10d12[力場]ダメージ、成功で半分。即座に0ヒット・ポイントにする効果は削除

原文を比べて分かる最大の変化は、激震掌がセーヴ失敗で0ヒット・ポイントにする効果から、10d12[力場]ダメージ(成功時は半分)へ変わったことと、明鏡止水がFleet Stepへ置き換わったことです。肉体の完成はボーナス・アクション化され、1回の回復量は下がる一方、使用回数は増えました。

SRD非収録の3サブクラス——Warrior of Mercy・Warrior of Shadow・Warrior of the Elements

Warrior of Mercy、Warrior of Shadow、Warrior of the ElementsはPHB 2024には収録されていますが、SRDには含まれていません。そのため、以下はD&D Beyond公式記事「2024 Monk vs. 2014 Monk: What’s New」の要約です。

Warrior of Mercy(旧・慈悲門)

『ターシャの万物釜』由来で、4種の中では変更が最も少ないサブクラスです。慈悲の手立て(Implements of Mercy)、命の手(Hand of Healing)、死の手(Hand of Harm)、医師の手(Physician’s Touch)、活殺自在の連打(Flurry of Healing and Harm)、慈悲無辺手(Hand of Ultimate Mercy)という既存の特徴を引き継いでいます。

2024年版では命の手が魔法アクションに分類されました。また、活殺自在の連打には【判断力】修正値回(最低1回)/大休憩という使用回数が設定されています。基本クラスのHeightened Focusにより、レベル10で連打が3回の素手打撃になります。そのため、活殺自在の連打を得るレベル11以降は、1回の使用で命の手に置き換えられる打撃も最大3回になります。

Warrior of Shadow

影の術(Shadow Arts)が大きく再設計され、『ダークネス』を発動できるほか、『マイナー・イリュージョン』を習得するようになりました。この特徴で発動した『ダークネス』の効果範囲を移動させられ、効果範囲内を見通せます。暗視の獲得・強化も含まれます。一方、『パス・ウィズアウト・トレイス』と『サイレンス』は影の術の対象から外れています。

レベル11のImproved Shadow Stepでは、フォーカス・ポイントを消費して薄暗い場所・暗闇という影渡り(Shadow Step)の条件を無視でき、テレポート直後に同じボーナス・アクションの一部として素手打撃を行えるようになりました。レベル17の影の衣(Cloak of Shadows)は、1分間、無力状態になるまで、または明るい光の中でターンを終了するまで不可視状態を与えます。効果中は攻撃や呪文の発動を行っても不可視状態が続き、占有されている空間を移動困難な地形として通過でき、フォーカス・ポイントを消費せずに連打を使えます。

Warrior of the Elements

D&D Beyond公式記事が、モンクのサブクラスの中で最も変更が多いと説明するサブクラスです。元素同調(Elemental Attunement)により、素手打撃の間合いが通常より10フィート伸び、[酸][冷気][火][電撃][雷鳴]から選んだダメージ種別を与えられます。対象がセーヴィング・スローに失敗すると、10フィート押すか引き寄せることもできます。さらに、新しい初級呪文Elementalismを習得します。レベルが上がるにつれて、範囲攻撃、移動能力、ダメージへの抵抗を得ていきます。

総評

2024年版モンクは、「気をMonk’s Focusへ再編し、ポイントを使わなくても動ける選択肢と、戦闘中の回復手段を増やす」方向で改訂されました。武術ダイスの底上げ、護身・疾風足の無料部分、Deflect Attacksの近接対応により、毎ターンの選択肢が増えています。

一方、日月語、時知らずの肉体、虚身の不可視化と呪文発動は削除されました。Warrior of the Open Handの激震掌も、即座に0ヒット・ポイントへ落とす効果から固定ダメージへ変わり、一撃必殺より安定した運用を重視する構成になっています。

関連記事

参考資料

※2014年版および日本語版『ターシャの万物釜』で既訳のある用語は、サイト内の用語集に従って日本語を主体に表記しています。2024年版で正式な日本語訳を確認できない固有の特徴名・サブクラス名(Warrior of the Open Hand、フォーカス関連の新特徴名など)は、英語原文を主体にしています。