創作者向け——SRD 5.2とCC BY 4.0を日本語で使う完全ガイド
「D&Dのルールを使った同人シナリオを売っていいの?」「自作ツールにD&Dのデータを載せたら怒られる?」——答えは、SRDの範囲内なら、帰属表記さえ守れば商用でも堂々とできます。この記事は、その根拠と実務手順を日本語でまとめた創作者向けガイドです。
※本記事は法的助言ではありません。重要な判断は原文および専門家の確認を推奨します。
SRDとは何か
SRD(System Reference Document)は、Wizards of the Coast社が「この範囲は自由に使ってよい」と定めて無償公開しているD&Dルールの基盤文書です。現在は2つの版があります。
- SRD 5.1: 2014年版(5e)ベース
- SRD 5.2.1: 2024年版(5.5e)ベース。呪文338本、モンスター約331体、全12クラスなどを収録
いずれもクリエイティブ・コモンズ表示4.0国際(CC BY 4.0)で提供されています。
できること(CC BY 4.0の効力)
- 商用利用: 同人誌の販売、クラウドファンディング、継続支援サービスもOK(公式FAQ明言)
- 翻訳・改変: 日本語訳の公開も、ルールを改造した独自システムの制作も可能
- 両版の混用: SRD 5.1と5.2の内容を1つの作品で併用可能(公式FAQ)
- 恒久性: CCで一度公開されたものは撤回できない——将来ライセンスが取り消される心配は構造的にない(公式FAQ)
必要な対価はただひとつ、帰属表記です。
できないこと
- SRDに載っていないテキストの転載・逐語訳: PHB本文、冒険シナリオ、SRD外のサブクラス・種族(アーティフィサー、アアシマール等)はライセンス対象外
- 固有名詞IPの使用: ビホルダーやマインドフレイヤーといった象徴的モンスター、Strahd・Orcus・Tiamatなどの固有名は、SRD 5.2から意図的に除外されています
- 商標の濫用: 「D&D」「Dungeons & Dragons」のロゴ使用、公式・公認を装う表現、商品名やドメイン名への商標組み込み
- 書影・アートの転載: ルールブックの画像・イラストはSRDに含まれません
なお、配信・ファンアート・コスプレ等のファン活動はSRD/CCの枠組みではなく、別途「ファンコンテンツ・ポリシー」の管轄です。混同しないよう注意してください。
帰属表記——コピペ用テンプレート
SRD 5.2.1を使う場合(必須・原文のまま)
This work includes material from the System Reference Document 5.2.1 ("SRD 5.2.1")
by Wizards of the Coast LLC, available at https://www.dndbeyond.com/srd.
The SRD 5.2.1 is licensed under the Creative Commons Attribution 4.0 International
License, available at https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.
SRD 5.1を併用する場合(追加)
This work includes material taken from the System Reference Document 5.1 ("SRD 5.1")
by Wizards of the Coast LLC and available at
https://dnd.wizards.com/resources/systems-reference-document.
The SRD 5.1 is licensed under the Creative Commons Attribution 4.0 International
License available at https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.
日本語の補足文(例:「本作はSRD 5.2.1の内容をCC BY 4.0に基づき利用した非公式作品です」)を併記すると、読者にも意図が伝わります。
日本語で使う——有志翻訳という選択肢
公式の日本語版SRDは存在しませんが、有志によるSRD 5.2.1の日本語全訳がGitHubでCC BY 4.0公開されています(Riti0208氏によるもの)。CC BY 4.0の翻訳物なので、翻訳側の帰属表記を追加すれば、これを下敷きにした創作・転載も可能です。同リポジトリのREADMEが指定する帰属文をそのまま使いましょう。
訳語は有志独自のものです。正確性が問われる場面では英語原文を正とし、翻訳は参照補助として扱うのが安全です。
ケーススタディ
- 同人シナリオをBOOTHで販売: ○。SRDのルール・呪文・モンスターは掲載可。帰属表記を奥付へ。SRD外モンスターを出したいときは、自作の同等品に置き換える
- ブログでルール解説: ○。そもそもルールの仕組み自体(アイデア)は著作権の対象外なので、自分の言葉での解説は自由。SRD原文の引用・訳出も帰属付きで可
- VTT用データモジュールの配布: ○。SRD収録データの範囲なら配布・販売可。SRD外のデータ収録は不可
- 「公式日本語版」を名乗る: ×。非公式であることを明示する
原文の入手先
SRDは公式サイト(D&D Beyond)でPDF配布されているほか、有志によるMarkdown変換版・日本語訳版がGitHubで公開されています。本サイトの解説記事は、これらの原文との突き合わせを経て公開しています。
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